ウブドゥに入った。

ウブドゥはバリヒンドゥーの文化が色濃く残っている場所だ。
元々は小さな村だったそうだが、いくつかの村を取り込んで大きな観光地になったらしい。
ここはバリのイメージを壊さないように上手く観光化された場所だと思う。
確かに観光地なのだが、あまり飽きはこない。少し長居しても良いかな、なんて思ってしまう。

苔むした寺を見ながら、モンキーサンクチュアリと呼ばれる猿の保護地区を歩く。
猿の行動を見ていると、時おり人とに似た行動をとることがあり、つい笑みが出てしまう。

子供を大切にしている母猿の姿などは特に微笑ましい。

ウブドゥで半日ワゴンツアーに参加した。
バリ・ヒンドゥーの総本山(?)かどうか分からないが、キンタマーニ寺院は特に聖地としての扱いが強い。外から眺める分には一切の規制はないのだが、寺院の中に観光客は入ることができない。大声で寺院名を叫ぶのは若干抵抗があるが、伝統的な特徴ある寺院だ。

また、バリが水がきれいだ。非常に美しい湧き水が出る場所に寺院が建てられていた。ガイドのパンフレットには英語で「Holy-spring-temple」。そのまんまですな。

ウブドゥでは様々な伝統芸能を見ることができる。そのうち影絵とレゴンダンスを見た。
影絵は正直言って面白くなかった。
レゴンダンスは面白い。この日のテーマは聖獣バロンと魔女ランダの争いだ。
バロンは自然現象のうち、人間にとって「プラス」の部分にあたる現象をつかさどっている。

ランダはバロンと対照的で、人間にとって「マイナス」の部分にあたる現象をつかさどっている。

バロンとランダはインド・ヒンドゥーにはなく、バリ・ヒンドゥー独自の神と悪魔で主役級の存在だ。
ヒンドゥー教は土着宗教を貪欲に取り込み、土着宗教の神を自らの宗教の神々の一つにしてしまうのが得意だが、バリの土着宗教の強さには勝てなかったらしい。インドヒンドゥーはバリの土着宗教を呑み込むのを諦めて共存することを選んだ。それが独自に発展したバリ・ヒンドゥーだ。
ただ、バリ・ヒンドゥーには「サン・ヒャン・ウィディ」という唯一神の存在がある。
本来、多神教であるヒンドゥーに唯一神がいるというのは、バリ・ヒンドゥーの成立にイスラムも混じっているということだろう。特に調べたわけではないので、あくまで憶測だが。
話は戻り、バロンとランダ。
光あるところには必ず闇もあるということで、バロンとランダは永遠に続く争いを続けている。
影絵ではその争いが続く中、唯一神サン・ヒャン・ウィディが現れて「光あるところ闇もまたあるのだよ」なんていう悟りを聞かせて終わったのだが、レゴンではサン・ヒャン・ウィディは出てこなかったような気がする。
バリ・ヒンドゥーの面白いところは、神や精霊に限らず、悪魔にもお供えをすることだ。
「悪さしないでね」と、悪霊にワイロを送るのだ。
バリ・ヒンドゥーには勧善懲悪の発想がなく、人間臭くて親しみがもてる。
そんなバリ・ヒンドゥーの文化を大事に残している場所がウブドゥ。
とても面白い場所だ。
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