シンガポールで数日間過ごし、港から船でバタム島を経由してジャカルタに入った。
バタム島はシンガポール政府とインドネシア政府が共同開発しているリゾート島で、ネットや本、口コミから集めた情報では、ここからジャカルタ行きの船が出ているらしいとのことだった。
しかし、実際に行ってみると、港の親父いわく「ジャカルタ行きの船は数日後に出発だよ。何日かは分からないよ、あははっ」とのこと。サメ的旅行者をしている自分にとって、通過地点に数日滞在は耐えられない。数日間の滞在費と飛行機代を天秤にかけたら、飛行機に乗るべきだろう。
仕方なく飛行機でジャカルタに行くことになった。安く行こうとしたのに、とんだ出費だ!
ラウンジで飛行機を待っていると、チェックイン済みなのに何故か搭乗時間に遅れてしまった親父が血相を変えて走りこみ、そのまま間違った方向へ走り去っていった。その後を空港関係者が急いで追いかけて行くが、しばらく追いかけっこは続く…結局彼は自分の乗る飛行機の真下まで行ってしまい、車輪の側でキョロキョロしていた。待合室にいた人全員が大爆笑!
飛行機はジャカルタに着いた。
安宿を探していると「よお、日本人!」という声が。
「三日間オリのある部屋に入ってた」と言う三人連れの日本人に会った。彼らは薬物不法所持で捕まっていたらしい。バイヤーにパクられたそうだ。
「飯食いに行こうぜ」
彼らが誘ってきた。
腹も減っていたし断る理由もないので一緒に歩くことにしたが、次の瞬間、彼らは…道の端でバイヤーと何事か交渉していた。
出所したばかりなのに、いきなりかよ!
バイヤーから買い終えた後、彼らはそれらを宿の部屋へ持ち帰ると言い出した。
嫌な予感がする。
予感的中。
宿に戻る際、後ろを見るとバイヤーが隠れながら後をつけていた。
この三人組は後をつけられている事に気付いていない。つい最近この手口でやられたはずなのに…
ダメだ、こいつら。
三人そろって致命的な不注意人間であることが判明。
災難に巻き込まれてはたまらないので、すぐに別れ単独行動をとることにした。
泊まった部屋で、いつものごとく寝苦しい夜。
深夜、やけに体が痒いな~と思っていたら南京虫発生。小指の爪の半分くらいの吸血虫で、この旅を始めて三ヶ月と20日、とうとう遭遇。一匹いたら何万匹もいると思え、という虫だ。
ついに出たな~こんちくしょう!と思い駆除している最中、ふと頭に
ラオスの宿の情報ノートの一文が浮かんできた。
「○○さんへ。私も見ましたよ!白人のゴースト(笑)」
南京虫よりもゴーストの方が直接の被害がなくていいなと思いながら駆除を続ける。幸い南京虫は二匹だけで、あとは蚊だった。
これでようやく眠れると思い、ベッドに入るとすぐに笛の音が。どうやらモスクから流れる早朝の儀式らしい(たぶんコーランの呼びかけ)
という感じで、マレーシア、シンガポールに滞在し、平和ボケしかかっていた脳みそに喝を入れられたインドネシアの初日は過ぎていった。これからまた激しい日常が戻ってくる予感がする。
ちなみにこの日の大きな料金交渉は一勝(タクシー)一敗(飛行機代)だった。
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苦手な空の色
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インドネシア編

ジャカルタは都会だった。