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by mlsenyou
 
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押しの弱さ(ホンガイ、ハノイ)
ハロン湾をじっくりと見ることなくホンガイを離れる。
船着場で船を待ちながら売店のオヤジと話していると、エロオヤジ出現。私の隣に腰かけ「この言葉は日本では何と言うんだ?」とメモを持ってくるが、その内容は「FAC○」や「SE○」等、全部ヒワイな言葉だ。どうやら世界中のヒワイな言葉を集めているらしい。
しょうがねえな~と思いながら海の方を見ると、ぐうぜん自転車を整備している日本人を見つけた。オヤジから逃げつつ声をかけてみる。

その日本人は自転車でベトナム縦断中だった。
そんなワイルドな計画を実行している割には、おっとりとしているようだ。
話を聞くと、ハロン湾では割高なツアーを組まされたとのこと。
話をしている間にも、買ったばかりの100円サングラスを、エロオヤジにしつこくせがまれて100円以下で売ってしまっている。
思いっきり押しに弱いが、大丈夫なのだろうか。

情報交換をしている時、自転車君が「歩き方」を持っているのに気づいたので読ませてもらった。
「歩き方」を読むと、知らない情報がたくさんつまっていることに気づく。
何も知らないまま勢いで旅するのも楽しいが、それだけでは中国の桂林のように名所を見逃してしまうおそれがある。
ハノイに戻ったらガイドブックを買おう。

しばらくそういった考え事をしていて、ふと気づくと自転車君が「歩き方」を返して欲しそうにモジモジしていた。
すまん…でも、そういう時は言ってくれ。

出発が早かったせいか、その日のうちにハノイに着き、サトウキビの日本人に教えてもらった宿に泊まる。2.5ドルのドミトリーだ。
再び街歩きをすると、タイミングよく英文のガイドブック「Lonely planet」を売っている男が声をかけてきた。「歩き方」は売ってなさそうだ。日本語だから需要が少ないのだろう。
とりあえず「Lonely Planet」のベトナム、カンボジア、ラオス分を買う。辞書を使えばたぶん意味はつかめるだろう。それに、まとめ買いをしているから交渉も有利に運べるはずだ。予想通り、交渉はうまく行き、大幅にまけさせることに成功した。
値切りがキツすぎたせいか、買い終わった後に泣き言を言われてしまった。キツいなら売るのを辞めればいいのだが、この男も押しに弱いのだろうか。自転車君のことが少し心配になった。

最終兵器
ベトナム・目次
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by mlsenyou | 2004-09-30 10:20 | ベトナム | Trackback | Comments(0)
 
岩より窓(ハイフォン、ホンガイ)
お腹の調子も少し収まり、いよいよハロン湾に行く事になった。

ホンガイ行きの船に乗るため、船着場で待っていると小学生くらいの姉弟が近づいてきた。弟がニコニコしながら声をかけてくる。
「1000ドンくれ」
いきなりかよ。

やらねーよ。と答えると、弟は面白がってクレクレ攻撃をしかけ始め、まとわりついてくる。
それでも断ると、彼はさらに面白がって熱心にクレクレ攻撃をしてくる。
しまいには露骨にポケットの中に手を入れ財布を取り出そうとしてきたが、タイミングよく姉に頭をひっぱたかれ、やめた。
それでも懲りず、弟はクレクレ攻撃をしてくる。
姉は「もうみっともないでしょ!」と言うように、飽きれて弟を見ている。
仕方ないので、Japanese Lucky Coinを使う事にした。Japanese Lucky Coinとは穴のあいた硬貨、つまり5円玉のことだ。「ご縁がありますように」の意味からラッキーコインといわれ、交流目的で使われる事がある。
「これは幸せを呼ぶコインなんだよ」と姉弟に1枚ずつ渡した。弟は大喜びしていたが、姉に「ありがとう。でもいくら?」と聞かれたのが少し悲しかった…

そうしているうちに船が着いた。
姉弟は乗らないようだ。私が乗り込むと出発まで笑顔で手を振り続けてくれた。

船はしばらくの間、海を渡り、やがてハロン湾のあるホンガイに着いた。船の中から遠目ではあるが奇岩群が見えている。
街に着いて驚いた。
店がほとんど開いていない。
というのも、この日は旧正月の3日目。どうやら人々はまだ祝賀ムードのようなのだ。休みで閑散としている街を歩きながら、何とか宿を見つけた。

チェックイン後、すぐに街を歩き始めるが、店が閉まって人が少ないのであまり面白くない。奇岩群もホンガイの街を歩きながら遠めに見ているうちに、だんだんとどうでも良くなってしまった。どうせ帰りの船の中からも見えるだろう。

そのまま、一時間くらいホンガイの街を一直線に進んだが何もない上に山道に入ってしまったので、そのまま引き返してきた。
つ…つまらん。旧正月明け直後に観光はするもんじゃない。

街に戻り少し歩くとネットカフェがあったので、とりあえず入ってみた。WindowsXPが置いてあった。
2003年2月3日、ベトナム北部の街で初めてWindowsXPをさわる。その後、XP搭載のPCを見ることはほとんどなかったので、この街のネットカフェは他よりも進んでいたのだろう。回線速度もそれほど気にならず、この辺りでは珍しく快適に使えた。
この街はハロン湾を見に来たはずなのに、なぜかWindowsXPを使った感動の方が印象に残ってしまった。

押しの弱さ(ホンガイ、ハノイ)
ベトナム・目次
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船から撮った奇岩群
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by mlsenyou | 2004-09-29 07:06 | ベトナム | Trackback | Comments(0)
 
冬の食あたり祭り(ハノイ、ハイフォン)
※今回は特に品がありません。

ハノイで迎えた新年(旧暦)は一日中部屋の中だった。
河口の麻婆豆腐で完全に胃腸をやられたのか、お腹が猛烈に痛い。腸が勝手にウネウネと暴れまわり、痛みでじっと寝ていることすらできない。
体もだるく、結局この日は何も食べずに寝たまま終わった。

二日目。
まだ体のだるさはとれていないが、お腹の痛みはなくなった。
そこで、大晦日に買ったパンを食べる。日を置いてしまったせいか、パンは少し固い。これは大晦日に作ったのか、それともそれより前に作ったのだろうか。
固くなったパンを何とか水で流し込んで宿をチェックアウトした。今日はハノイを出て、世界遺産の「ハロン湾の奇岩群」を見に行くつもりだ。

アジア各地の言葉をまとめた本「旅のアジア語」。
ベトナムのデータに「ハロン湾」は一行だけ紹介されていた。
ガイドブックではないのでそれ以上の情報はないが、地図を広げると位置的にはハノイの近くだ。それならハノイ駅に行けばたぶん何とかなるだろう。
予想通り、ハノイ駅ではハロン湾方面のハイフォン行き列車が出ていた。さっそく切符を買って列車に乗り込む。列車は中国の硬臥のようだった。三段ベッドの一番上の指定席に上ると天井が近すぎて座ることもできない。

まだお腹の調子が良くなかったので、そのままベッドで寝ていた。すると、急にお腹がゴロゴロと鳴り出した。
「おい…列車はまだ動き始めたばかりだぞ…」
そんな思いとは無関係に、腸は活動的になる。弱っていたお腹に古いパンをつめ込んだせいか。痛くはないが、腸がまたウネウネと動き始める。
少し我慢していたが、そのうちどうしようもなくなりトイレに駆け込んだ。しゃがみこむと、ふんばる必要もないくらい簡単に便が出る。しかし、それは通常の便ではなく水だ。小便をしているような感覚で水が出る。とても不思議な気分だ。
トイレから出てベッドに戻る。そしてまたすぐにトイレに入る。ハイフォンに着くまでに何回トイレに行っただろうか。初めてのベトナム列車はトイレとの往復だった。

夕方、ハイフォンに着く。
思ったより日が暮れていて、今日はハロン湾まで行けそうにない。仕方ないのでぶらぶら歩きながらハイフォンの宿を探す。
歩いていると、また出水の気配を感じた。早く宿を見つけないと危ない。
尻に力を入れて歩き、慣れないベトナム語で近くの人に宿を聞くと、そのすぐ隣りに宿はあった。CATBI HOTEL、15$。ベトナムの宿としては猛烈に高いが、値段を気にしている場合ではない。即チェックインして部屋のトイレに入った。

部屋に入ってからは列車内と同じく、ベッドとトイレの往復だった。
どうやら、飲んだ水は15分くらいでそのまま私の体を通過していくらしい。水を飲んで15分後、お腹がゴロゴロ鳴り出しトイレで放水。出る場所を間違っていないか?と思うくらい、勢いよく水が出る。溜まりに溜まった小便を一気に放出するような勢いだ。これならどんな宿便も確実になくなるだろう。

水を飲んで15分。トイレに入る。下痢の時は脱水症状になりやすいので、そのつど水を飲む。
そして15分。またトイレに入る。腸はまったく水分を吸収していないようだ。
また水を飲む。そして15分。またトイレ。いつまでたっても繰り返す水の素早い循環にだんだんイライラしてくる。私の体は屋久島ではない。

水を飲む。
15分後、トイレ。
水を飲む。
15分後、トイレ。
水を飲む。
…感覚がマヒしてきたのか、だんだん面白くなってきた。
時計を見ながら水を飲み、放水までの時間を計る。放水予定時刻を当てたらラッキー、外れたら再トライ。意味の分からないルールを作って自分の病気を遊ぶ。前日と違い、痛みがないのが幸いだった。

ふと気づくと部屋にはお茶があった。せっかくなので飲んでみる。昔、お茶は薬と言われていいたくらいだ。多少は効果があるだろう。
…効果は多少どころではなかった。
お茶を飲むと、お腹のゴロゴロはピタリと止まる。お茶は本当に薬だったのだ。

お腹が落ち着いてきたので、また水を飲む。
すると放水開始。

お茶を飲む。
ピタリと止まる。

また水を飲む。
止めたり出したりを自在に操れるようになった。気分はまるでダムの管理人。

最後にお茶を飲んで寝ると、翌朝はだいぶお腹の調子が回復していた。
大量の水で腸内の毒素を完全に洗い出し、お茶で抗菌する。下品この上ない水遊びは、結果として正しい治療行為だったのかもしれない。

しかし、それにしてもお茶の効果は抜群だ。
再度の下痢に対抗できるよう、部屋のお茶っ葉をビニール袋に詰め、リュックの中に入れた。
ジッパーの付いた小さなビニール袋に入ったお茶の葉は、ニュースで見かける例のブツのようだった。

岩より窓(ハイフォン、ホンガイ)
ベトナム・目次
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by mlsenyou | 2004-09-28 07:03 | ベトナム | Trackback | Comments(0)
 
サトウキビの幸せ(ハノイ)
ハノイ到着の翌日は旧暦の大晦日だった。
以前も書いたが、中国やベトナムあたりでは正月より旧正月の方が盛り上がるらしい。河口の宿に泊まっていた時も、すでに街は正月ムードが高まり、爆竹が鳴り響いていた。

夜、街を歩き湖(Hoan Kien Lake)の近くに行く。そこではステージが作られていて何かが舞っていた。どこかで見たことのあるステージだ…
それは雑技団だった。
上海で雑技団を見たが、ベトナムにも雑技団があるようだ。
雑技団は様々な演技を見せ、最後は壺芸で終わった。この壺芸は確か上海雑技団でもトリを務めていたが、地味な芸だ。大きな重い壺を軽々と操るのだから、要求される技術は高いのだろう。しかし、使う道具は壺。私のような素人ではその本当の面白さが分からない。どちらかというと、若者のアクロバットの方が派手で面白く感じる。

やがて花火が打ち上げられ始めた。正月になったのだろうか。
周りにいる人々が互いに「おめでとう!」「おめでとう!」と声をかけ合っている。正月独特の雰囲気だ。彼らの旧正月とは直接関係のない私でも、何か楽しい気分になってくる。そのうち周りの人からも「おめでとう!」と声をかけられた。
人々が互いに新しい年の始まりを祝う中、いくつもの花火が湖の空を明るく彩った。それがまるでベトナムの未来を示すかのように。

花火が終わり、人々は少しずつ散っていく。
近くの店でヤシの実を注文した。実の上側が切り取られてストローがささっている。中の果汁?を飲むらしい。
初めてのヤシの実は、弱っていた私の内臓をいたわるかのように優しく体に浸透していった。周りの席にはベトナム人がみんな楽しそうに話を続けている。中国人とは違い、ベトナム人はどちらかというと少し前の日本人のような雰囲気を持っている。どことない暖かさと人の良さ、真面目さのせいなのだろうか。何か懐かしさを感じる。

ウキウキした気分でヤシ汁を飲んでいると、真っ黒に日焼けをし、片手に木を持った日本人が近づいてきた。どこでそんなに焼いてきたんだ?と思うくらい黒いし、なぜ木を持っているのかもよく分からない。

「どっから来たの?」

男は聞いてくる。どうやら彼はこれから中国に向かうらしい。しかし、ベトナムビザの滞在期間も2日ほど過ぎているらしい。

「まあ、どうにかなるんじゃない?これもあるし」

男は手に持った木を私に見せた。どうやらそれはサトウキビのようだ。
彼が言うには、ベトナムではサトウキビを一年間持ち続けると幸せでいられるらしい。そのため持ち歩いているのだが、同時にそのサトウキビが原因で宿のドミトリーに入れず困っているとのこと…そいつは本当に幸せを運んでいるのか?
彼に安宿の情報を教えてもらい、宿に戻る事にした。

戻る途中、パン屋に笑顔のかわいい子がいたので、つい必要以上にパンを買ってしまった。
そして、それが新たな事件を呼ぶことになる。

冬の食あたり祭り(ハノイ、ハイフォン)
ベトナム・目次
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旧正月の花火
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by mlsenyou | 2004-09-26 11:36 | ベトナム | Trackback | Comments(0)
 
中国の旅路・目次
~ルート~
 1.日本・神戸港→中国・上海(新鑑真号)。
 2.上海杭州(列車)
 3.杭州広州(列車)→珠海(バス)
 4.珠海広州(バス)→地下鉄三元里駅近辺(タクシー)
 5.三元里広州駅近辺(地下鉄)
 6.広州昆明(飛行機)
 7.昆明大理(列車)→大理古城(現地ツアー途中離脱)
 8.大理古城麗江(バス)
 9.麗江大理古城(バス)
10.大理古城大理(バス)→昆明(列車)
11.昆明河口(バス)
12.河口→ベトナム・ラオカイ(徒歩)

中国大使館へはここをクリック!

~目次~
 1.上海へ…1~上海到着~
 2.上海へ…2~発展する都市~
 3.上海へ…3~裏通りの人々~
 4.上海へ…4~味の素とヌキ床屋~
 5.中国鉄道1~没有~
 6.中国鉄道2~一行だけの英文~
 7.杭州広州間1~古き良き老人~
 8.杭州広州間2~香港商人~
 9.珠海1~張さんお茶目~
10.珠海2~アンモー~
11.地下鉄三元里駅前ホテル(広州)
12.ベトナム大使館1~大使館はどこですか?~(広州)
13.ベトナム大使館2~モノマネ大会~(広州)
14.ベトナム大使館3~そして申請へ~(広州)
15.ホテル探し(広州)
16.広州の長い5日間
17.久々の日本人(広州)
18.切符断念(広州)
19.恐怖の飛行機(広州~昆明間の空)
20.カメリアホテル(昆明)
21.花粉症!?(昆明)
22.駅でぼんやり(昆明)
23.大理でトホホ(大理)
24.一日観光(大理)
25.降りる場所(大理)
26.旅と血液型
27.大理古城
28.どういたしましてに感動する。(大理)
29.電気の切れた夜(大理)
30.オーバーヒート(大理~麗江間)
31.ムーフ(麗江)
32.先生…?(麗江)
33.麗江観光
34.笑顔で蹴る人(大理)
35.河原で語る(大理)
36.メロディーを知らない歌(昆明)
37.クサイアシ(昆明~河口)
38.国境越えの日1~四川系麻婆豆腐~(河口)

ベトナム編
メイン目次

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by mlsenyou | 2004-09-25 13:10 | 中国 | Trackback | Comments(0)
 
クサイアシ(昆明~河口)
昆明駅近くのバスターミナルから河口行きの夜行バスに乗った。
乗客はほとんどが中国人、外国人は私以外にポーランドのカップルがいるくらいだ。

バスの中は、鉄パイプの狭い二段ベッドが三列に置かれている。トイレはないらしい。お世辞にも快適とはいえない。
足がはみ出る二段ベッドの上段に入り、毛布をかぶった。毛布は使い古されて汗がしみこんでいるのか、謎のにおいがする。

そのうち謎のにおいは強まっていった。これは毛布だけのにおいではない。そしてこのにおい、例えるなら濃縮ソラマメ500%。発生源に触れたらしばらく残りそうなにおいだ。
どうやら猛烈にくさい足の持ち主が乗っているようだ。周りを見渡すが他の人は平然と寝ている。
おのれ、平然と寝ているとは図太い奴だ。いったい犯人は誰なんだ!


…俺か!!

かぶった毛布の中から猛烈に足のにおいがする。靴は単純に言って失神級。とても枕元に置いておけるものではない。靴を足下に置きながら考えた。
中国滞在の3週間、ほぼ毎日、何時間も同じ靴で歩き回った。雨の日も風の日も、暑い日も寒い日も、何時間も履きっぱなしだった。水溜りにも踏み込んだ。そりゃくさくなるのも当たり前か。河口の宿に着いたらすぐに洗おう。

ふと下を見てみると、下段ベッドの中国人が私の足元に枕を置いていた。
出発したばかりのこのバスは明け方に着く予定だ。あと数時間は走り続けるだろう。


…ご愁傷様。

国境越えの日1~四川系麻婆豆腐~(河口)
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by mlsenyou | 2004-09-25 13:08 | 中国 | Trackback | Comments(0)
 
メロディーを知らない歌(昆明)
ところで、思い出の曲というのはあるだろうか。
それを聞くと、当時の様々な記憶がよみがえってくるような曲だ。
幸いにして私もいくつかそういう曲を持っているのだが、この旅を続けていくうちにもう一つ大切な曲が加わった。

…Sと河原で語った後、大理を離れ、昆明に戻った。
夜行列車を使ったから早朝の到着だ。今日は昆明に泊まらずにそのまま移動しようと思う。目標はベトナム国境に面している街、河口だ。いよいよ中国も終わりに近づいている。長いようだが過ぎてしまえば短いものだ。
とりあえずメールチェックをしたいので、カメリアホテルまで歩いた。大理にいる間はなぜかインターネットが全く使えなかったのだ。この頃、新種のウィルスが世界中で猛威を奮っていたのだが、ひょっとしたらその影響なのかもしれない。

カメリアのインターネットは普通に使えた。
メールチェックをする。友人から何通かメールが届いていた。その内容には最近の世界情勢を教えてくれるものも多いし、近況を教えてくれるものもある。前者は旅をする上での目安になるし、後者は寂しさを紛らわしてくれる。
一人旅は時によっては孤独との闘いにもなる。そんな時に近況を教えてもらうと、その人たちを身近に感じて力強くなってくる。
インターネットが広まったおかげで本当に旅がしやすくなったと思う。同時にネットが無かった時代の旅人の逞しさに尊敬する。

メールを読み進め、やがてある友人からのメールに移った。
彼のメールには歌詞が書かれていた。「自分の好きな曲で、きっと旅に合う曲だと思う」という言葉と共に。
曲を読んでみる。
題名は「Stage of the ground」
bump of the chickenの曲だ。

その頃、bump of the chickenの名前は知っていたが、まだ聴いたことはなかった。
読んでいくうちに、その歌詞が持つ世界に私は引き込まれていった。

「飛べない君は歩いていこう
絶望と出会ったなら手をつなごう」

「迷いながら 間違いながら 歩いていく その姿が正しいんだ
君が立つ 地面はホラ 360度すべて道なんだ」

「孤独の果てに 立ち止まる時は 水筒のフタを開ければ
出会いと別れを重ねた自分の顔がちゃんと写る」

少し経験した事、これから経験するかもしれない事が頭の中に浮かんできた。
この旅を終えた時、この歌は私の中でどんな意味を持つことになるのだろう。

メロディーを知らない歌、それは見知らぬ者への憧れに近く、想像の中で様々な形に変化していく。
旅が終わるまでの間、この歌は無数のメロディーにのって私の頭の中を流れていった。

「那由多に広がる宇宙 その中心は 小さな君」

クサイアシ(昆明~河口)
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by mlsenyou | 2004-09-21 11:27 | 中国 | Trackback | Comments(0)
 
河原で語る(大理)
No,4ゲストハウスのドミトリーに戻る。
チェコ人の二人はまだ泊まっていた。翌日チェックアウトするらしい。
私も明日は列車に乗って昆明まで戻るつもりだ。馬車を降りた後、古城周辺の寺をいくつか見てまわったので、疲れてすぐに寝てしまった。
この夜、悪夢を見る。悪夢に叫び、その寝言で自分も目覚めた。
「しまった」と思い、ふと周りを見まわすと、一人飛び起きて辺りをキョロキョロ見回していた。

朝、起きてチェックアウトの準備をする。
チェコの二人がドミトリーにもう一人日本人がいることを教えてくれていた。出る前に挨拶をしておこう。
日本人が戻ってきた。彼は夜中キョロキョロしていた人のベッドに向かっている。どうやら私の寝言で起こしてしまった相手だったらしい。

彼の名前は、とりあえずSとしておく。Sも「たびそら」を見ていた。彼は小型のPCを持って旅を続けている男だった。デジカメを持つ旅人は多いのだがPCを持つ旅人は珍しい。持ち運びに気を使うが、デジカメのデータをおとしたり、音楽や旅情報を詰め込んでおいたり…とPCがあると旅の幅が広がるのは確かだ。
チェックアウトした後、Sと大理新街へ向かった。
彼はお腹の調子を崩し気味だったので、まずは薬局を探した。乳酸菌の薬を買う。私の持っている中国語会話帳に「乳酸菌」が載っていたことからすると、やはりお腹の調子を崩す人は多いようだ。そういう私も中国に入ってから多少調子を崩している。
しばらく街を探索した後、公園辺りで宴会をしようということになった。

公園がなかなか見つからないので、近場にあった河原で宴会することになった。
ひまわりの種を食べながら川の流れを見つめる。麗江を比べると大理の川はお世辞にもきれいとはいえない。住民の生活排水が混ざり、水質はだいぶ落ちている。川の端には洗剤らしい泡もあった。そういえば、珠海の濁った川の名前が「パールリバー」だったのを思い出した。あの時は名前負けした川に苦笑した。この川も水質に合わないような美しい名前をつけられているのだろうか。
そんな川を見ながらとりとめのない話をする。一番盛り上がったのは「ビル・ゲイツをもてなす方法」の話だった。彼は世界一の金持ちだから、簡単なもてなしでは喜ばないだろう。彼を喜ばせるにはどんなもてなしをすればいいのだろう…こんな話をしながら見る夕暮れはどこか懐かしさを感じる。
ひまわりの種で黒く汚れた指をなめながら、ゆったりと流れる時間を久々に楽しんでいた。

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by mlsenyou | 2004-09-20 10:34 | 中国 | Trackback | Comments(0)
 
笑顔で蹴る人(大理)
一泊二日のごく短い麗江観光を終え、大理に戻る。
今度は工事か。大型車両が道をふさいで何かをしている。
結局それが長引き、バスは大幅に遅れて大理に着いた。
バスは急いでいたらしい。集金担当の男は私の方を見ながら携帯で誰かと話をしている。それを聞いた客がさらに私を見て嫌な笑いをしている…何か良くない予感がする。

案の定、バスは大理古城の街まで行くことなく、幹線道路の「大理古城辺り」で私は下ろされた。あいつら俺が地理に詳しくないからって、はしょったな!上を見ると青い看板に白抜きの字で「古城」。遠くを見るとだいぶ先に古城の街らしいものが見える。歩きでは時間がかかりそうだ。

降りたもんは仕方ないから歩くか、と思った時、絶妙のタイミングで馬車がやって来た。どうやら私を迎えに来たようだ。さっき携帯で私を見ながら話していたのは馬車を呼ぶためだったのかもしれない。馬車に乗り「古城の街まで」と告げると、分かってる、と言わんばかりに男は笑顔で馬を進めた。

馬車は揺れた。車上から写真を撮ろうとするが、あまりに揺れるのでなかなか撮るタイミングがつかめない。私の様子に気づいていないのか、男はさらに馬を加速させる。馬の蹄の軽やかな音を聞いているうちにカメラはどうでもよくなった。一枚撮ったからまあいいか。

しばらく走り続けていると馬が立ち止まった。疲れたらしい。いくら男がムチを使っても馬は歩こうとしない。すると男は笑顔で馬車から降りて馬に近寄った。そして馬の尻を思い切り蹴飛ばし始めた。笑顔で。
ものすごい蹴りが何度も馬の尻に入る。男は笑顔を絶やさない。
馬は「ちょっと、やめてよ~」という程度に嫌がる。やはり体が大きいからそれほどのダメージではないのか。なかなか動かない馬に男はさらに笑顔で蹴り続ける。

「ほら動け!動くんだ!」
そう言っているように聞こえる。愛なのか虐待なのか、蹴りを入れている時の男の笑顔がよく分からない。そういえば、広州から珠海に行く途中の張さんも笑顔で怒っていた時があった。この国の人たちは笑顔で怒るのだろうか?

ようやく馬が歩き始めた。
男は笑顔のまま馬車に乗り、かけ声をあげて馬を導く。

そして古城に戻った。

河原で語る(大理)
中国・目次
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馬車の上から
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by mlsenyou | 2004-09-18 08:58 | 中国 | Trackback | Comments(0)
 
麗江観光
麗江2日目の朝は早かった。
まだ辺りが薄暗い時間に起きて、タクシーで山まで向かう。大理のNo,4ゲストハウスに2泊分の料金しか払っていないから、今日か明日の朝には帰らなければならないからだ。そうしないとNo,4のドミトリーにメインのリュックを置きっ放しにできる理由がなくなってしまう。

タクシーの運転手は麗江の宿、新華客桟経営者の親戚だった。宿の人たち同様、彼も親切で、私のデタラメすぎる中国語を何とか理解しようと耳を傾けてくれる。英語は話せないようだ。
彼と会話になってない会話をしながら山を目指した。街から見える山はすぐ近くにあって、すぐに到着しそうだが、走ってみると意外と遠い。
運転しながら彼は中国語の曲を口ずさみ始めた。そしてある曲に入った時、それは耳にしたことのあるメロディーだった。

日本の曲で、千昌夫が歌っていた「北国の春」だ。
白樺~青空~南風~♪という曲を聴いたことのある人は多いだろう。言葉は違えどもメロディーは同じ。すぐに分かった。彼はこの歌が好きらしい。
とりあえず日本語で歌ってみる。歌が下手だったからか、日本語が分からなかったからか、彼は不思議そうな顔をしていた。

その後、山に着き馬に乗る。馬で山を登るらしい。
私の乗った馬の担当は少年だった。鼻の下に光るものがある。鼻水だ。色といい、たれ具合といい、見事なまでの青っぱなをたらしている。
…そういえば、小学校の時、同じクラスでこの少年と同じくらい見事な青っぱなをたらしていた子がいた。日本と中国の青っぱな少年。彼らに共通する点は…
ずっと青っぱなをそのままにしていることだ。
…かゆくなってこないのだろうか?
馬をひく少年の鼻を見るたびに余計な心配をしてしまう。
少年は馬が自分に従わず立ち止まってばかりいるので、とても悔しそうにしている。鼻はたらしたままだ。
結局、山を降りるまで、少年の鼻の下は輝きを放ち続けていた。

少年の鼻を強調してしまったが、麗江の山は美しい。ここから流れ出る雪解け水は街の人々に豊かで清らかな水の恵みをもたらす。清らかで冷たい水だ。
その水を眺めながら「ここでワサビの栽培をして日本に輸入したら儲かるだろうか?」と何度も考えた。我ながらもう少し純粋に感動したかった。

笑顔で蹴る人(大理)
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鼻たれ君
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by mlsenyou | 2004-09-17 13:27 | 中国 | Trackback | Comments(0)


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プロフィール
1976年の早生まれ
埼玉県出身。
3年半リーマン生活の後、半年間、中国+東南アジア10カ国を旅する。
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