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by mlsenyou
 
ホーチミン廟(ハノイ)
ホーチミン廟に行った。
ホーチミン氏は建国の父ともいえる存在だからだろうか、ここは荷物管理が徹底している。リュックの類は事前に預けなければならないらしい。

入場口近辺でリュックを預け、カメラをぶらさげたままベトナム人の列に並ぶ。軍人の指示により、列を作って歩かなければならないのだ。
列に従ってノソノソと進んでいくと、途中で軍人に呼び止められた。廟内にはカメラを持ち込めないらしい。その場でカメラを預けることになった。

やがて廟内に入り、ホーチミン氏との面会が始まる。
氏はガラスの中で穏やかに眠りについていた。少し離れた場所から氏を囲むように道が作られている。国民から慕われている存在だからか、氏を見るベトナム人の表情には尊敬の念が表れているようだ。

しかし、私には氏が物のようにしか見えなかった。
死後、かなりの期間が経ってしまったからか。それとも廟内の異質な雰囲気が氏を物のように見せてしまうのか。
どちらにしても、ガラスの中に見える物からは、生の痕跡らしいものを見つけることができない。

聞くところによると、氏は死後、ソ連の技術によって防腐加工がなされたらしい。だから何年経っても腐らずにガラスケースの中で眠り続けていられるのだろう。
氏の周りには花が飾られ、それをぼんやりとした照明が照らし続けている。いつまで氏は眠り続けなければならないのだろう。朽ちることを忘れた死体を見ていくうちに、何故か哀れみの感情が芽生えてきた。
自然の法則を逸脱し、時の流れを止められた時点で「者」から「物」と化してしまった氏。防腐加工というのは人を人形に変える作業なのだろうか。
「死んだら朽ちる」という、ごくありふれた変化をなくすということは、とても悲しいことなのかもしれない。

大敗北1(ハノイ)
ベトナム・目次
ホーチミン廟(ハノイ)_b0007425_7293552.jpg

ホーチミン廟の裏側
by mlsenyou | 2004-10-02 07:28 | ベトナム | Trackback | Comments(0)
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プロフィール
1976年の早生まれ
埼玉県出身。
3年半リーマン生活の後、半年間、中国+東南アジア10カ国を旅する。
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